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海釣りで釣れる魚 色(色彩)に対する認識は?

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魚の色に対する認識(色覚)

当サイトでは、本記事とは別に魚の視野と視力についての紹介を行いました。

その際、使用する釣り糸の細さ、太さは釣果に影響を及ぼす重要な要素であることを記載しましたが、これはある程度の釣り経験を持つ方には周知の事実です。

また、釣り糸を選ぶ時には、使いやすいライン色の選択も釣りやすさを向上させる重要な要素となりますが、その際には魚の色彩に対する認識が影響を及ぼします。

海釣りの中でも、エサ釣りが中心の釣り人にとっては、魚の色に対する認識を意識する機会は少ないかもしれません。

ただ、ルアー(疑似餌)を使うアングラーにとっては、ルアーのカラーチェンジが釣果を変える重要な要素となることを肌で経験していることでしょう。

そこで、今回は海釣りで釣れる魚の色(色彩)に対する認識について紹介しようと思います。

目次

海釣りで釣れる魚 色(色彩)に対する認識は?

その昔、1940年頃までは魚には色覚はなく色盲であり、色彩の判別は出来ない生物だと言われていました。

今でもそのような記載を見かけることがありますが、半分正解で半分不正解ということで、魚には色を識別できる魚種と色盲の魚種がいます。

これまで、魚の視細胞の詳細な研究と、魚種別の様々な実験が繰り返されることで、ある程度魚の種類による色を識別の可否が分かっています。

実験ではコントラストの兼ね合いもあるのでしょうが、透明色も識別できるというようなことが報告されています。

そもそも視界にとらえた物質の色というのはどのように認識(色覚)されているのか、少しばかり寄り道をしようと思います。

そもそも色(色彩)はどうやって認識されるのか?

管理人自身は学生時代に物理化学を専攻していましたので、色がどのように作り出され、観測者に認識されているのかを大凡理解しています。

ただ、小難しい話しはつまらないので、単純明瞭に説明できるよう纏めてみます。

色を認識するために必要な光・・・ここでは分かり易く太陽光と考えてみましょう。

太陽光は、いろいろな種類の色(波長)を持つ光の集まりです。

とりあえず、下図のように、青、緑、赤の3種類の色だけを扱ってみます。

光の三原色の組み合わせ図
光の三原色の組み合わせ図

色光の三原色  /  色料の三原色
混ぜると白色  /  混ぜると黒色

左図

聞いたことがあると思いますが、光の色で青、緑、赤の3種類を【光の三原色】と言います。

3色が100%で各々混ざったところを見みると、空色(シアン)、赤紫(マゼンダ)、黄色(イエロー)が出来上がっており、全てが混じったところは白色になっているのが分かります。

これってインクジェットプリンターのインクの基本色と同じですね。

太陽光は実際には、もっともっと多くの色の光が集まっているわけですから、これらが混ざり合うことにより、無数の色を持つ光が降り注いでいるということになります。

右図

インクのように色を持つ物質を混ぜ合わせ、これに光が当たった時に、動物の視覚は様々な『色』としてこれを認識します。

とりわけ上記のシアン、マゼンダ、イエローを混ぜ合わせ、様々な色の光や光量を用いることで、人が認識できる『色』を作り出すことが出来ます。

色を識別するフロー

  1. 対象物に様々な色の光が当たる。
  2. ある色の光は対象物を透過し、別の色の光は対象物に吸収され、更に光の一部は反射される。
  3. 反射された色の光が混ざった状態で視覚に捉えられる。
  4. 視覚が捉えた色の光を、対象物の色として認識する。

視細胞や波長という文言を使わずに、最短で纏めるとこのような説明になります。

誰もが簡単に分かるように説明できたかのかは不明ですが、何となくでも色を認識する事がどういうことか理解できたでしょうか!?

魚は色(色彩)に対する認識を持つのか?

さて、上記の青・緑・赤の3種類の光(可視光線)を捉えるのは、人の視覚についてのものです。

因みに、多くの哺乳類では赤外線と近紫外線の2種類のみが識別域となっています。

しかしながら、驚くことに魚はこの赤・緑・青に加えて、近紫外線も捉えることが可能で、4種類の色の光を認識できます。

ただし、目から入ってきた光の刺激を最終的に色として認識しているのは脳なので、魚が色を認識できているかどうかは正直わからない、というのが本当のところです。

それでも視細胞の構造を調べる限り、恐らく色を認識できているだろう、という推測が成り立つようです。

それどころか、魚の種類によっては人間以上に多くの色を認識できている可能性があると言われています。

この辺りは、目の中にある視細胞のうち、色の認識に関わる錐体細胞の種類や数が、魚の種類によって違うことが理由となっているのですが、これ以上話をややこしくするのは止めましょう。

ただし、色の認識に関わる【錐体細胞】(すいたいさいぼう)に対し、光の強さの差に反応し明るさを区別する【桿体細胞】(かんたいさいぼう)があるということだけは書いておきます。

このあたりのことは、以降の記事内容で少しだけ多少絡んでくるためです。

ちなみに、管理人としては、魚が色の違いを認識していると一番身近に感じているのは、我々釣り人なのかもしれないと考えています。

これは冒頭で書いた通りですが、釣り人はラインの色次第で魚に逃げられ釣果に悪影響を与えたり、ルアーには魚種によりヒットカラーがあることを経験的に知っているからです。

もちろん環境要因もあるし、色ではなく明度によって魚の反応が変わるということもあるでしょう。

それでもなお、多くの魚が色を識別しているのは間違いのない事実だろうと思っています。

以前に紹介した、『海釣りで手軽に釣れる魚の色(保護色) -特徴と特性-の内容もこの考えに基づいて纏めたものです。

色(色彩)を識別出来る魚、出来ない魚

透明色のルアーに反応の良いメバル
透明色のルアーに反応の良いメバル

最後に色を識別出来る魚と識別できない魚を、いくつか紹介しておきます。

どうやら海の沿岸部に住む魚類には色を区別する能力を発達させた魚種が多いようです。

当サイトも波止釣り中心のブログですが、釣り人の大半は堤防釣りを行うので、これは吉報ですね。

逆に光があまり届かない深い海に住む魚類は、桿体細胞の数を増やし、色を区別する能力よりも明暗によって相手の輪郭を把握する能力を発達させている種が多いと言われています。

つまり、住んでいる環境や生存に必要な能力に応じて、色を認識できると有利な環境に住む魚は色覚を発達させる方向に進化し、色を認識する必要が無い環境に住む魚は色覚よりも明暗に敏感になる方向に進化してきた、という事になります。

しかし先に述べたように、最終的に魚の脳がどのように色を認識しているかまではまだ分かっていません。

それ故に、様々な魚種に対し、色に対して習慣や反射を組み合わせた実験で、ひとつひとつ試されているのが実情です。

魚の色の認識に関しては、まだまだ未知の部分が多く、論文で定説を覆すような新たな見解も数多く発表されているのも事実です。

最後に色(色彩)を識別出来る魚と、色を認識出来ない魚について、具体的な魚種を判明している範囲で記載しておきましょう。

色を識別する魚(海水)

スズキ、ボラ、メバル、アイナメ、ヘダイ、グレ、ハゼ、イシダイ、ヒラメ、ホウボウなど数多く存在。

クロダイ(チヌ)、コノシロは紫外線領域は無し。

色を識別しない魚(海水)

カワハギ、ブリ、サメ、その他光が届かない深海に棲む魚に多い。

マグロ、カツオは色盲だと言われてきましたが、近年色を識別できるとの報告もあります。

魚ではありませんが、マダコ、アオリイカ、コウイカは色盲。

魚種によって好む色、活性を上げる色、警戒させる色、集魚する色、逆に離散させる色など、様々な視点から記事を書ければ良いのですが、これには個々の魚に対して釣行時の条件も合わせて紹介しないと論じるのは困難です。

釣り場の違いを含めて、釣り環境はいつも同じではなく、釣行時期やその日の潮汐や干満、水の濁り、ベイトの発生などによっても最善条件は変わります。

例えば、夜釣り(ナイトフィッシング)では仕掛けに蛍光や蓄光の釣具をよく使用しますが、これは発色の問題だけでなく、釣り場や条件次第で、同じ光の強さを使用していても、集魚にもなる時もあれば、逆に警戒を与える時もあります。

ある程度効果を発揮する色というのは理解されていますが、それをどのように上手く使うかは釣り人本人の知識と経験に裏打ちされた腕前次第です。

結局のところ、同じ釣り場に足繁く通い、様々なシチュエーションを経験しながら試行錯誤を繰り返し、自分自身のパーソナルパターンを確立するのが釣果を伸ばす一番の手立てだということでしょうか。

現在、魚の色覚の解明については、すでに遺伝子レベルでの研究が行われています。

内容はかなり難しいですが、読み物としては面白いので興味のある方は以下をどうぞ。

魚の色覚はすごい!(日経ビジネス)

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