シーズン問わずに狙える波止釣りのチヌとハネの釣り方のうち、2魚種同時に狙える最強釣法ともいえるのがエビ撒き釣りです。
日本全国各地で桜が咲き誇る春、海水の水温上昇とともに魚の活性も上がり始め、冬場に小休止していた釣り人の釣り熱も再燃し始めます。
春告げ魚と称されるメバルが、晩冬の産卵後の体力を取り戻し、積極的に捕食するようになれば、いよいよ海の季節も春を迎えます。
この時期の堤防釣りでは、乗っ込みが始まったクロダイ(チヌ)やキビレの大型(年無クラス:50cmオーバー)が期待でき、ハネ(時にはスズキクラス)の活性もあがり、浅棚でも数釣りが楽しめるようになります。
このメバル、チヌ、ハネを狙う釣り方の代表に、シラサエビやブツエビなどの活きエビをマキエとする【エビ撒き釣り】と呼ばれる釣り方があります。
ここでは、一般的な波止で行うエビ撒き釣りの仕掛けや、活きエビの撒き方を含めた釣り方のコツ、おすすめのタックルなどについて紹介します。
なお、エビ撒き釣りは釣り場や時期、時間帯によっては、カサゴやアコウなどのロックフィッシュを含めた様々なターゲットにも有用な釣り方ですが、それぞれ狙い方が変わります。
ここではクロダイとハネに絞ったウキ釣りで行う、エビ撒き釣りの釣り方を紹介します。
チヌとハネのエビ撒き釣り ~仕掛け・エサ・釣り方のコツとおすすめのタックル~
エビ撒き釣りはよくボウズが少ない釣り方だと言われますが、それはある程度の知識やテクニックを持った人に対して言えることです。
この釣りはマキエワークが非常に重要な釣りで、安定した釣果を得ようとすれば、それなりの経験も必要になります。
ただし、マキエさえ途切れさせないようにしっかりと行えば、意外と始めて間もない初心者のうちに、本命の大物をゲットできる釣りでもあります。
それでは、まずエビ撒き釣りについて簡単に紹介しておきましょう。
エビ撒き釣りとは
エビ撒き釣りとは、シラサエビやブツエビと呼ばれる生きたエビ(活きエビ)を撒いて魚を寄せて釣る釣り方です。
ターゲットとなる魚は、クロダイ(チヌ)、ハネ(スズキ)を始め、メバル、カサゴ、アイナメ、アコウなどのロックフィッシュがメインです。
その他にもグレやサンバソウ、ウミタナゴ、ハマチやメッキなどの青魚、沖堤や海釣り公園などの水深のある場所では、マダイやヒラメなどのビックゲストも釣れる最強釣法だと言えます。
ただし、一口にエビ撒き釣りとは言っても、実は仕掛けや釣り方は一種類ではなく、ウキ釣りを始め、ズボ釣り(際釣り)やブッコミ釣りなどがあり、また、アコウやメバルなどは半夜や夜釣りがメインの釣りとなります。
エビまき釣りは、主に関西地方(特に大阪湾)を中心に人気のあるメジャーな釣り方ですが、逆に関東を含めその他の地域ではほとんど知られていないマイナーな釣りで、一応これには理由があります。
それは活きエビを大量に使うという点で、実に財布に優しくない釣りなのです。
ここでいう活きエビとは、淡水に生息するスジエビ(関西ではシラサエビ、関東ではモエビ)のことですが、琵琶湖が近い関西では比較的安価に入手できますが、それ以外の地方ではかなり高価なエサになります。
輸入物が安価に流通していた時期もありましたが、2016年7月より輸入は行っていない状況です(長くなるので理由は割愛します)。
現在では、販売そのものを行っていない釣りエサ店も多く、例え入手出来てもこれをマキエで撒きまくるなど、信じられないという方も多いことでしょう。
そういう訳で、皆が皆、この釣りを楽しめる訳ではないというのが実情です。
ただ、関東の方でも一部シラサエビを扱っている釣りエサ店があったり、またECサイトで取り扱われていたり、更に自分で採取できる地域の方もいるでしょう。
もしかしたら関西以外の地域でも、一部の方は結構なお金をかけて、エビ撒き釣りを行っている方もいるかもしれませんね。
エビ撒き釣りが出来るシーズンと食いの立つ時間帯
エビ撒き釣りはターゲットの範囲が広いことから、厳寒期を除けば、ほぼ一年を通して楽しめる釣りです。
また、朝夕の活性の高いマズメ時だけでなく、日中の釣りでも、夜釣りでも、いずれでも釣果が期待できます。
ただし、エサ取りが多い時期は釣りにならないこともあり、夏場などはもっぱらエサ取りが姿を消す、半夜釣りや夜釣りがメインとなります。
また、ここで紹介するハネとチヌについても、やはりメインシーズンというか良く釣れる時期というものがあります。
冒頭にも書きましたが、長い冬が終わり、桜が咲き始める頃になると、徐々に海水温も上がり始めます。
そうなると、湧き始めた小魚のベイトを追って、ハネは湾内を積極的に回遊するようになり、数は多くないですが70cmオーバーのスズキもチラホラと顔を出します。
また、沖堤で始まるクロダイ(チヌ)のノッコミの気配も、地磯や波止の浅場へと移ってきます。
日中に限定したエビ撒き釣りでは、おおよそ3月後半から5月までが、サイズ・数ともに最も期待できるシーズンで、大阪湾内の実績のある波止などでは、エビ撒き師がズラリと並ぶことも珍しい光景ではありません。
そして、6月も近づくと豆アジの回遊が始まり、サビキ釣りの人口がどっと増える頃になってくると、バチ抜けが本格化することもありエビに対するハネの反応は悪くなります。
また、エサ取りが湧くことでチヌを狙う釣り人も、紀州釣りなどエサ取り対策を兼ねた釣りへとシフトしていきます。
もちろん、これ以降もエビ撒き釣りは楽しめますが、前述のように夏から秋口にかけては、夜釣りがメインとなってくるので、日中のエビ撒き釣り師の姿はグッと減ります。
夏場もエビ撒き釣りを続ける方は、チヌやハネよりも、アコウをメインターゲットとする方が多いのではないでしょうか。
そして、徐々に水温が下がり始める10月頃になると、小魚の数はグッと減り、再びエビ撒き釣りのシーズンがやってきます。
この時期に釣れるハネやチヌもサイズが期待でき、春ほどの数釣りは難しいでしょうが、ハネのスズキクラスの期待値はマックスです。
10月後半から11月もまた、エビ撒き釣りにとってはメインシーズンと言えますが、春と秋のいずれをベストシーズンとするかは、チヌを狙う釣り人、ハネを狙う釣り人、あるいは数を求める釣り人か、サイズを求める釣り人かで変わってくると言えそうです。
更に冬に入っても1月一杯くらいまではチヌもハネも普通に釣れるのがこの釣りの強みですが、さすがに2月から3月前半は釣果が落ちます。
あと、チヌやハネが良く釣れる時間帯についてですが、これは他の釣りでも共通ですが、やはり朝夕のマズメ時が最も食いが立ちます。
ベストシーズン以外だと、この傾向が強くなると思っておいた方が良いでしょう。
逆にベストシーズンであれば、日中でも十分に釣果が期待できるので、時間帯を絞る必要は少ないと言えます。
ただし、エサ取りが活発な時期になってくると、やはり日中の釣りは厳しくなるので、朝夕のどちらかに絞って釣行に出る方が良いでしょう。
活きエビの元気さや量を考えても、朝夕のどちらかのマズメ時を含む5時間程度の釣行として出掛けてみるのが良いでしょう。
エビ撒き釣りは釣り場を問わないのが嬉しい
ハネやチヌを狙ったエビ撒き釣りは、一般的な波止の中で、場所を問わずに楽しめる釣りです。
必ずしも潮通しが良い場所を選ぶ必要もなく、ある程度潮が動く釣り場であれば、湾内でも十分な釣果が期待できます。
むしろ潮の速い場所では、マキエを一箇所に集めるのが難しく、防波堤の外向きよりも内向きの方が釣果に恵まれるケースが多い釣りです。
またそれほど水深も問わない釣りなので、サーフ(砂浜)以外なら、どのようなポイントを選んでも良いでしょう。
特にメインとなるシーズンは、1ヒロ~2ヒロ(1.5m~3m)程度の棚まで上ずってきますので、そういう面ではやりやすい釣りとも言えます。
ただし、この釣りは生きたエビのマキエで寄せて(厳密に言うとマキエで回遊してきたターゲットを足止めしてという表現の方が正しいですね)釣る釣りなので、一人で行うよりかは周囲に同じエビ撒き釣り師がいる方が有利です。
足繁く通って回遊ポイントを知っているのなら必要はありませんが、知らない釣り場の場合は、同じエビ撒き釣り師がいる近くに釣り座を構えるほうが良いでしょう。
チヌやハネのエビ撒き釣りタックルと仕掛け
ウキ釣りで行うエビ撒き釣りのタックルや仕掛けの一例を紹介しますが、ここでは、活きエビの撒き餌に使うエビ撒きカゴ(エボ撒きボール)も含めて記載してみました。
使用するタックルは、ターゲットとなるチヌやハネはそれなりのサイズが期待できることから、少しばかりシッカリとしたタックルを用意しておきたいところです。
とは言っても、エビ撒き釣り専用のタックルというようなものはありませんので、ここでは多くの方が波止釣りで使っているような汎用的なタックルを用いた紹介を行いたいと思います。
上図のタックルでは、およそチヌ50cm、ハネ60cm程度までなら、下手をしなければ普通に取り込めるタックルと考えてもらえば結構です。
以下に、このタックルと仕掛けの概要を、もう少し詳しく説明しておきましょう。
釣り竿(ロッド)は胴調子や先調子がおすすめ
チヌやハネをターゲットにする場合は、チヌの締め込みや、ハネの強烈なファイトを十分にいなしてくれる、胴調子や本調子の磯竿が向いています。
使用するロッドの強度は、ある程度釣り経験のある方なら1.5号、経験が浅い初心者なら2号程度が標準的な強度になります。
ただし、活きエビの底撒きカゴのセットも含めて1本のロッドで行う場合には、少し先調子気味の胴調子ロッドで、最低でも強度は2号、カゴの大きさ次第では3号を使用しておいた方が無難だと言えます。
また、ロッドの長さは4.5m~5.3mがどのような釣り場においても使える長さで、チヌ釣りに慣れた人であれば5.0m~5.3mを、まだ釣りの経験が十分でない方なら4.5mと標準的な長さの方が扱い易いでしょう。
長さに関しては、ロッドの重さにも直結する部分ですので、カーボン比率の高いハイスペックなロッドなら長め、万能竿と呼ばれるような磯竿を使う場合には4.5mを使用するといった使い分けでも良いかと思います。
リールは中型のスピニングリールがおすすめ
エビ撒き釣りは、波止際でも十分に釣果が期待できる釣りですが、どちらかというと岸壁から少し離れた場所へキャスティングを行う方が多い釣りです。
また仕掛けの負荷はトータルでオモリ負荷5号程度までということもあり、使用するリールはほぼスピニングリールの一択だと言えます。
遠投は必要ないので、小型のスピニングリールでも使えなくはないですが、ターゲットのサイズがそれなりに大きいことと、シーズンによっては深棚を攻めることもあるので、やはり中型のスピニングリールを用意したいところです。
2000番か2500番程度が最適で、3000番以上になると少し重くなりますので、ロッドとのバランスが崩れ、持ち疲れも発生してきます。
ロッドのしなり強度がターゲットのファイトをいなしてくれるので、ドラグ性能がシッカリ働きさえすれば、高価なリールは必要ありません。
5,000円程度で購入できるエントリーモデルのスピニングリールで十分なので、汎用性の高いリールをすでにお持ちの方は、それを使ってもらえば結構かと思います。
エビ撒き釣りのウキ釣り仕掛け
上図で紹介したウキ釣り仕掛けは、少し複雑に見える方がいるかもしれません。
仕掛けの特徴を、以下に簡単に紹介し、その中で太字で示した重要点については詳細も示しておきましょう。
- 道糸は3.5号~4号で、糸グセが付きにくいナイロンラインを使用
- ウキ止めは、道糸の太さに合わせた糸巻きタイプのものがおすすめ
- ウキはある程度の遠投も効く視認性の高い細めの棒ウキを使用
- ウキ下にはカラマン棒を入れておきます
- ハリスはフロロカーボンで矢引き(80cm)~1m程度と短めでOK
- ガン玉はウキの浮力調整目的で、ハリスの中間あたりに設置
- 釣り針はチヌ針と記載していますが、細めのメバル針も良い
- エビ撒きカゴには2号~3号程度のナス型オモリを設置
【ウキ】のポイント
ハネは見かけに寄らず食いが渋い魚で、アタリは多くあれども、なかなか食い込まず、素バリを引くケースが多い魚です。
この仕掛けの中でウキは重要度が高いタックルで、感度性能に優れた長めの棒ウキを使うのが基本ですが、自立タイプとオモリ負荷が必要なタイプで、多少仕掛けが変わってきます。
いずれも20mほどはキャストして視認できるレベルのものが最適で、前者の自立式の場合はガン玉のみの負荷調整でOKですが、後者のオモリ負荷が必要なウキを使う場合は、サルカンの上にゴム管オモリを入れたり、サルカンの代わりにクッションシンカーを使用して下さい。
【釣り針】のポイント
釣り針は使用するシラサエビのサイズにもよりますが、大き目のものを入手するのならチヌ針を使用し、標準以下のシラサエビが多いようであれば軸の細いメバル針や、活きエビ用の釣り針が販売されているので、それらを使用しましょう。
これは、エサの活きの良さを少しでも長く保つためです。
また、食いが悪いと感じた時にも、魚に与える違和感を少なくする為に、細めの軽い針を使用する方が良いでしょう。
【エビ撒きカゴセッティング】のポイント
エビ撒き釣りのマキエの方法は2種類あり、その内容と方法についての詳細は次項で記載します。
上の仕掛け図では、マキエの方法の一つで、底撒きと呼ばれるマキエを行う場合に使用するエビ撒きカゴ(エビ撒き器)を示しています。
エビ撒き器の上部にはスナップ付きサルカンがついているので、ワンタッチで取り外しが可能となっています。
仕掛けに直接セットしてマキエを行う場合は、マキエを行う時だけ、サルカンの上側の環のところへ、エビ撒きカゴをセットし、撒き餌が終わったら、カゴを取り外して、仕掛けを投入します。
この仕掛けの操作では、よくハリスがカゴに絡むという難点があります。
これを避けようと思えば、ハリス側にもスナップ付サルカンを付けてサルカンへセットしておき、マキエを行う時にハリスを外してカゴをセットし、マキエが終わったらカゴを外してハリスを戻すという方法があります。
少し面倒ですが、急がば回れと言うことで、コチラの方が糸よれなどが発生しない分、メリットは大きいでしょう。
なお、マキエをするのに専用のロッドを1本別に用意する場合は、上記の操作は必要ありませんが、これもまた面倒です。
活きエビの撒き方 ~エビ撒き釣りは撒き餌の切れ目が釣果の切れ目~
エビ撒き釣りは、マキエの量が釣果を分ける釣りだと言われます。
また、それと同時に、マキエの切れ目が釣果の切れ目だとも言われます。
この釣りにおいて、活きエビ(シラサエビ)を撒き続けるというのは、それほど重要な操作になるのですが、ここではその活きエビを撒く2種類の方法について紹介します。
棚が底付近の場合はエビ撒きカゴを使った底撒きが必要
まず、仕掛けのところで示したエビ撒きカゴを使ったマキエの方法を【底撒き】と言います。
写真のエビ撒きカゴは、第一精工のエビ撒きボールと呼ばれる、この釣りで最も良く使用されているエビ撒きカゴです。
半球が2つ合わさって球になる形状で、エビを詰めた後にピン止めして球状にし、先ほど説明したように仕掛けにセットしてやります。
そして、ポイントへキャストして着水して狙った棚まで沈めた後、ロッドを大きくしゃくることでピン止めが外れて、エビがポイントへ撒かれるという仕組みです。
底撒きといっても、必ず底に撒くわけではなく、あくまで狙った棚にダイレクトでマキエを行う目的で使われます。
というのも、シラサエビは普通に海面に撒くと、横に泳いでいく習性があるので、狙う棚が深いとそこまで到達せずに、方々に散ってしまうからです。
ウキ下がおよそ2ヒロ(3m)以上の棚で釣りを行うつもりであれば、このようなエビ撒きカゴを使ってマキエを行う方が良いでしょう。
なお、一度に撒くシラサエビの量は、大体15匹~25匹程度で、これを10分に1回は撒き続けるようにしましょう。
ただし、釣りを開始する前には、30匹~40匹程度と多めの量を2回か3回撒いておいた方が良いでしょう。
これだけ考えても、いかにシラサエビを大量に使う釣りかということが分かると思います。
棚が上ずっている時はエビ撒き杓を使った上撒きで十分
そして、もう一つのシラサエビのマキエの方法が、水切り杓を使った【上撒き】と呼ばれる方法です。
浅棚のポイントでエビ撒き釣りを行う場合や、ベストシーズンでターゲットが浅棚まで上がってくる場合はコチラのマキエの方法を使います。
エビ撒きカゴを使う場合と比べれば断然お手軽で、写真のような水が切れる穴が空いた杓を使って、杓のしなりでポイントまでエビを飛ばす方法です。
ただし、先ほど説明したようにシラサエビは潜っていく習性がないので、撒く前には一時的にエビを気絶させてやる(仮死状態にする)必要があります。
具体的に言うと、エビを掬ったカップを手の平で蓋をし、上下に激しく振ってやることでシラサエビは気絶します。
あるいは、シラサエビそのものを手の平でグッと圧力を掛けてやることで、一時的に仮死状態にすることも出来ます。
気絶したシラサエビはマキエされて海中に沈んでいくと、すぐに気が付き回復して泳ぎ始めますが、回復までの間にある程度は沈んでくれるので、浅棚だと十分にマキエの効果が得られます。
コチラの場合は、一度に撒くシラサエビの量は、大体10匹程度で結構ですが、ただし、仕掛けを投入する前には毎回マキエを行うようにしましょう。
なお、こちらも釣りを開始する前には、20匹~30匹程度と多めの量を2回か3回撒いておいた方が良いでしょう。
どちらのマキエの方法が良いというのは一概には言えませんが、とにかく、エビ撒き釣りでは小まめにマキエを継続することが重要で釣果を出すコツです。
シラサエビのマキエの方法については、別途、記事や動画で紹介したものもありますので、宜しければご参考にどうぞ。
エビ撒き釣りの釣り方のコツ
それでは、実際にチヌやハネを狙ったエビ撒き釣りの大まかな流れと釣り方のコツについて、これまでの内容と重複するところもありますが、ざっと紹介しておきます。
- 釣り場の状況をみて棚を決める
- スタート時のマキエを行う
- 少し時間を空ける
- 通常量のマキエを行う
- 仕掛けを投入する
- アタリが出る
- アタリが出ない
- ヒットして取り込み
- 4.項からの繰り返し
上記のエビ撒き釣りの流れを、文章で少し補足しておきます。
①釣り場の状況をみて棚を決める
スタート時の棚の目安は、時期や時間、活性の高さにより変わりますが、情報がない場合は少し深めから始めるのが良いです。
基本的にシーズン外、低水温、日中、活性が低い時などは深めにし、すでに周囲で釣果が上がっているようなら浅めに設定してみましょう。
②スタート時のマキエを行う
すでに紹介したように、少し多めのマキエを行います。
③少し時間を空ける
チヌやハネの場合はそれほど気に掛ける必要はありませんが、活性を上げるという点で、スタート時のマキエ直後は10分~20分程度時間を空けてやる方が良いでしょう。
上撒きで行う場合や、マキエ用のロッドを出す場合には、マキエをしてから仕掛けに取り掛かっても遅くはありません。
④通常量のマキエを行う
「仕掛けを投入する前には、まずマキエ!」という意識を持っておきます。
特に上撒きの場合は、仕掛けを回収すればマキエを行い、それからエサ付けしてキャストという流れでも構いません。
なお、マキエは潮の流れを意識して、必ず潮上から行うように心掛けましょう。
⑤仕掛けを投入する
この釣りはポイントをダイレクトに狙っていく釣りです。
仕掛けのキャストについては、潮の流れを計算する必要はなく、マキエを効かせている場所を直撃して仕掛けを流します。
よって浅棚の場合では軽い仕掛け(ガン玉だけや0.5号程度)でも良いですが、4ヒロ以上の深棚を狙う場合や潮の流れが強い場合には、少し大き目の負荷のある仕掛け(1号~1.5号程度)を使うのも良いでしょう。
⑥アタリが出る
よほど高活性でない限り、なかなか一発でウキが消し込むことはなく、アタリはかなり繊細に出るものと思っておきましょう。
軽い前アタリで合わせても素バリを引くことが多いので、前アタリの後にウキが消し込むまで我慢しましょう。
あまり食い渋るようだと、竿で聞いてみたり、軽く誘いを掛けてみるのも良いでしょう。
⑦アタリが出ない
周囲に同じようにエビ撒き師がいて釣果が上がっていなければ、単に獲物が寄っていない可能性が強いです。
棚を深めに探ってみるなどして、マキエを途切れさせることなく我慢の釣りを続けましょう。
なお、シラサエビが死んでいたり、弱っていると食いも立ちませんので、積極的にエサは交換して下さい。
⑧ヒットして取り込み
チヌの場合は早めにポイントから離した方が、ポイント荒れもしないので良いのですが、ハネの場合は無理に浮かす必要はありません。
特にスズキクラスになると、まず強引に引き合うのはタックル的に難しいので、焦らずにじっくりとやり取りします。
根に潜る魚ではないので、走れば糸を出してやってもOKです。
ただし、ターゲットが浮いているときにロッドを立て過ぎると、エラ洗いでラインをカットされる可能性が高くなるので、この場合はロッドは寝かし気味でやり取りする方が良いでしょう。
以上が、エビ撒き釣りの基本的な操作と、釣り方のコツになります。
この釣りはマキエワークが非常に重要な釣りですが、基本的にシラサエビの集魚力はそれほど高いものではありません。
ターゲットの回遊に合わせて、狙ったポイントに餌を維持し続けることで、足止めさせて釣ると言った方が良いでしょう。
それゆえ、マキエが広範囲に散らばらぬよう、潮の流れを意識しながら、なるべく同じような場所にエビを集めましょう。
また、チヌは雑食性で何でも口にしますが、ハネは基本的にフィッシュイーターで生きエサにしか食い付きません(そうは言っても、まれにオキアミなどの冷凍エサでも釣れますが・・・)。
そのため、シラサエビの活きの良さを維持することは非常に重要です。
そのあたりについては、次項のタックル紹介のところで、もう少し詳しく記載しておきたいと思います。
チヌとハネのエビ撒き釣りにお勧めのタックルと釣具
ここでは、これからエビ撒き釣りを始める方向けに、必要なタックルを一通り紹介しておきたいと思います。
ただ、すでに波止釣りを始めている方で、同じような仕様のタックルを持っていれば、新たに用意するものはそれほど多くありません。
最低限何が必要かという部分に焦点を絞って紹介しておきたいと思います。
ロッドは胴調子の磯竿がおすすめ
仕掛けの項で紹介したものと、同じような性能を有するロッドを2本だけ紹介します。
まずは、シマノのホリデー磯という、波止釣りのエントリーモデルとして定番と言える人気のロッドになります。
先寄りの胴調子になっており、上図ではエビ撒きカゴをセットして負荷が掛かったとしても、初心者でも十分に扱い易い2号の4.5mをピックアップしました。
磯竿で最初の1本を用意される方には、ここで紹介したエビ撒き釣り以外の、どのような釣りに対しても幅広く使える1本として、おすすめできる製品です。
また、自重160gは女性でも扱えるほど軽く、非常に軽快な振り調子なので、長く愛用できることでしょう。
なお、すでに十分な経験をお持ちの方なら、1.5号でも強度に不足はなく、2号ならロッド長5.3mを選択されても良いかと思います。
上記のエントリーモデルから一歩進んだ、本格的な磯竿の中からコストバランスの高い1本を紹介します。
インプレッサは上物の磯釣りのスタンダードモデルといえる製品で、パワーと操作性がワンランク上の基本性能を持つ製品です。
汎用ロッドと違いトップ径はずいぶん細くなるので、初心者向きとは言えませんが、急激なファイトに対しても、キレのある調子とスムーズな曲がりは、多少の強引なやり取りにも十分に応えてくれる。
おすすめの強度は1.5号で、ロッド長は5.3mではなく5.0mという嬉しいラインナップとなっているので、エビ撒き釣りを含めてフカセ釣りなどの上物をやる方におすすめです。
リールは中型のスピニングリールがおすすめ
次にリールですが、スピニングリールの中から、コストパフォーマンスの高い製品を選ぶのが良いでしょう。
高価なハイスペック製品が必要な釣りではないので、ここでは利用範囲が広いコストパフォーマンスに優れた製品を2点紹介します。
近年のスピニングリールは、エントリーモデルでも非常に高性能な製品がラインナップされています。
その代表的な製品の一つがサハラであり、シマノが売りにしている製法や技術が存分に盛り込まれたコスパの高い製品です。
あらゆる波止釣りの種類に使用できるといっても過言ではなく、17年モデルは次に紹介する後発で人気モデルのレブロスにも負けず劣らずの完成度です。
なお、サハラは2500番とC3000番のいずれも自重250gで、ギア比やドラグ力などの基本性能も同等なので、C3000番を選択する方が良い(C3000の方が人気もあり大抵割安で販売されている)でしょう。
ついでに紹介すると、2023年現在で、すでに22サハラが販売されており自重も10g軽くなりましたが、まだ価格も高く、これを選択するなら時点のレブロスを推奨するので、ここでも記載は控えています。
これから波止釣りを始める方から、それなりの経験のある方まで、スタンダードモデルのスピニングリールの選定に迷えば、レブロスを選べばまず後悔はしない逸品です。
エントリーモデルの価格帯で、スタンダードモデルの性能を備えた先駆けとも言えるリールで、20年度からのLT(Light&Taugh)モデル販売でその人気はより強固で評価も絶対的なものになりました。
10,000円以上出して、下手なスタンダードモデルを選ぶのであれば、半額程度でコチラを選ぶ方がよほどコスパの高さを感じられるだろうと思います。
汎用的な波止釣りでの使用は勿論、エビ撒き釣りでの大物対応でも十分に応えてくれる、その人気に恥じない性能を有したリールです。
エビ撒き釣り仕掛けを構成している釣具
紹介したエビ撒き釣り仕掛けを構成する釣り道具のうち、より重要なものだけ製品のリンク付きで紹介します。
- 道糸(ライン):ナイロン3.5号~4号
- ウキ止め:糸タイプ
- シモリ:小
- カラマン棒:小 or 中
- ウキ:キザクラ(kizakura) 自立チヌ 4B
- サルカン:10号 or 12号
- ハリス1.75号~2号:クレハ(KUREHA) ハリス シーガー グランドマックスFX 60m 1.75号
- ガン玉:3B~5B
- 釣り針:活エビ(ハネ・チヌ) フック 茶 8号 釣り針
非常に多くの小道具が必要ですが、ほとんど汎用的なものでOKです。
ただ、ウキ、ハリス、釣り針については、釣果に直結する釣具となりますので、ある程度厳選して使用した方が良いでしょう。
最後にエビ撒き釣りを行うのに必要な、活きエビの活かしとエサ撒きボールやエビ撒き杓などを紹介します。
その他、エビ撒き釣りに必要なタックル
以下は、仕掛け以外のエビ撒き釣りで必要となるタックルになります。
残念ながらあまり汎用性の高いものとは言えませんが、エビ撒き釣りに興味を抱き、これから始めようとお考えの方はタックル選びの参考にして貰えれば幸いです。
まず第一に、活きエビを生かしておくためには、ブクブクやエビブクと呼ばれる活かし用のクーラーが必要となります。
活かしの為のクーラーには、いくつかの種類がありますが、ここで紹介する製品は、その中で最も性能の高い製品で、同時に結構な価格の製品でもあります。
活きエビはストレスと温度に弱く、長い時間元気に活かしておくためには、十分な水量が入るボックス、低水温を維持できる保冷力、エビの量に対して十分な酸素補給、また、エビが捕まって休める網の存在などが不可欠です。
上記はこれらの性能を十分に有し、エビが休めるネットと取り出し時に便利な小出しネットも付いた製品であり、本格的にエビ撒き釣りを行う方が使うような製品です。
もう少し気軽に始めてみたい方は、釣具屋へ行けばもう少し安い製品もありますので、現場で製品そのものを見て検討されるのが良いでしょう。
なお、水量の目安は非常に重要なファクターとなりますが、半日の釣行で少なくとも6L、終日なら10L以上は入るものを選ぶようにしましょう。
エビブクでもう一点必要なものが、エアーポンプになります。
十分な酸素補給を行うために、できれば送り込む空気は、小さい粒の方が水に溶存させやすいので、上記の製品をおすすめしたいと思います。
管理人自身はエビ撒き釣りだけでなく、活きアジを使った呑ませ釣りやヤエン釣りもするので、このポンプは周年を通して大活躍で非常に役に立っています。
こちらは釣具屋で購入するよりも、ネットなどで購入する方が安く上がるのではないでしょうか。
送風ポンプはもう少しお手軽価格の製品もありますが、総じて総風量が小さいので、総風量が1L/分はあるか確認しておいて下さい。
せっかく高いお金を出して買う活きエビなのに、毎度を弱らせることになると逆に高くつくことになるので、ポンプはしっかりしたものを用意しましょう。
なお、万一の乾電池切れも想定して、必ず予備の乾電池は用意して釣行に出るようにしましょう。
活きエビを底撒きする為の定番製品が、上記の【餌撒きボール】と呼ばれる製品です。
一度購入すれば、錆びつかせない限りはいつまでも使えるので、是非とも一つは用意しておきましょう。
ロッドのシャクリでピン止めを解除してカゴを開くためには、カゴの底にオモリが必要ですが、こちらは通常のナス型オモリの2号~3号でOKです。
遠投に使う時は、ロックピンを上手く外せるようにセットするのにコツが必要で、ピンを少し曲げて硬めに掛かるようにしておき、オモリ負荷の方で調整すると上手くいきます。
なお、他にもエビ撒きカゴはあるのですが、使い勝手の良さはコチラが群を抜いていますので、他製品の紹介は控えようと思います。
もう一点、活きエビを上撒きする際に必要となるのが、上記のような【水切り杓】です。
非常に安価な製品の紹介になりますが、10m程度の距離なら、この程度の製品で十分に飛ばすことが可能です。
エビを飛ばすために柄をしならせますが、引き過ぎると折れてしまうことがあるので、曲げ過ぎには注意しましょう。
以上で、チヌとハネを狙ったエビ撒き釣りの紹介を終わります。
ここでは、チヌやハネをウキ釣りで狙う最もポピュラーなエビ撒き釣りについて紹介しましたが、仕掛けを繊細なものに替え、半夜や夜釣り中心に行えば、メバル狙いにも応用できます。
また、身に付けたマキエワークは、ハネやアコウを狙ったズボ釣りなどにも役に立ちます。
エビ撒き釣りのターゲットは非常に魅力ある魚ばかりなので、まだこの釣りを試したことがない方は、自身の釣りのラインナップに加えてみてはいかがでしょうか。
コメント
コメント一覧 (2件)
相変わらず詳しい解説ありがとうございます
いい釣りですよね。お金は別にして・・・
連休にはマックスのシラサが売り切れで付け餌さえ買えないようなこともあったり、
エビクーラーを子供が蹴って水がなくなって・・・とかありますけどね。
ある時、カゴにエビ入れてカゴ釣りしていたら周囲から反則と言われました
これもまた財布と相談ですが・・・
カゴ師さま
こんばんわ、カゴ師さん。
書き始めるとあれも伝えたい、これも伝えておかねばと、いつもの悪い癖で止まらなくなり、またとんでもない長文になってしまい、申し訳ないです。
ちなみにカゴ師さんのコメントにあるように、今年のゴールデンウィークもマックスの活きエビは在庫切れになっていました。
実は5/5(土)の夕方から夜半にかけて、エビ撒き釣りに出ようと思って、泉大津店に寄ったら入荷待ちで、入手できませんでした。
仕方なく青イソメを500円だけ買って、助松の沖向きテトラへ電気ウキ釣りに出掛けました。
薄暗くなるまでポイントの様子見で歩き回り、さあいざ始めようとして仕掛けを作り、キャストを開始したところ、あろうことか2投目で家から急な呼び出しがあり、仕方なく撤退する羽目に・・・
せっかくの釣りの機会を失ったのは痛かったですが、でも活きエビが売り切れていたのは不幸中の幸いでした。
あやうく、ダブルパンチを喰らうところでした。
春になると、釣果が上向いてきて、釣りに出掛けたい気持ちも強くなるのですが、この時期は例年イベント事が多く、思ったように動けないのが残念です(>_<) 今週も母の日がありますが、土曜日なら釣りに行けるかな・・・ ガチろっくん