釣りのネタ帳では過去に、仕掛け作りの基本となる結び方の紹介で、胴突き仕掛けを題材としたものを取り上げました。
この中で胴突き仕掛けに必要なエダスの出し方について、最もベーシックな結びの方法として、【8の字結び(エイトノット)】で結ぶ方法を紹介しました。
エイトノットでエダスを出す方法は、初心者でも結びやすい最も基本的な方法であり、魚のアタリがダイレクトに伝わってきやすいというメリットがありますが、同時にエダスが切れた場合に仕掛けを作りなおすことが困難というデメリットもあり、一長一短がある方法であるとも言えます。
ここでは、一から仕掛けを作りなおすことなく、エダス切れやエダスの出す位置を変えることが出来る、そんな仕掛けの作り方について紹介します。
サルカンビーズを使ったエダス仕掛けの作り方とメリット
胴突き仕掛けやサビキ仕掛けで使われるエダス仕掛けですが、このエダスを出す方法については、幾つかの方法があります。
主なものを挙げると、以下の4種類になります。
- 幹糸(モトス)に直接結ぶ方法・・・上記で紹介したエイトノットで結ぶ方法はこれに該当
- モトスにチチワを作り、これにエダスを結ぶ方法
- モトスを分割し、モトス間に親子サルカンなどを組み入れる方法
- モトスにビーズを組み入れる方法
このうち、ここでは、4点目のモトスにビーズを組み入れる方法の一種で、波止釣りで汎用性が高い仕掛けの作り方について紹介します。
枝針をセットできるビーズの種類
まずは、仕掛けに使用するビーズについて、どのような種類や特徴があるのかを軽く確認しておきましょう。
主にエダスを作る際に使うビーズには、クロスビーズ(回転ビーズ)やサルカンビーズ、クロスハリス止めと呼ばれるようなものがあります。
左から順に、回転ビーズ、サルカンビーズ、クロスハリス止め
その特徴は、いずれもモトス(幹糸)にビーズを通し、モトスに対して垂直方向に枝針を出せるようにした釣り道具になっています。
船釣り仕掛けや、胴突き仕掛けに用いられる道具ですが、いずれの商品にも『回転』や『ローリング』などといった用語が強調されているように、ビーズや連結器具が回転することにより糸ヨレやハリスと幹糸との絡みを防止するという効果があります。
また、先に示したように、モトスに直接エダスを結ぶことはないので、エダスが切れても、仕掛けを作り直すことなく、ハリスの交換が容易に行えるというメリットがあります。
この道具を選ぶ時の基準としては、仕掛けの手軽さ、ハリス交換の容易さ、大物への対応強度、道具の価格など、いくつかの要因があります。
波止釣りのアジ、サバ、イワシなどの青魚程度であれば軽い仕掛け、ロックフィッシュも対象に加われば中程度の強度のある仕掛け、更に、船釣りなど水深もありオモリ負荷も大きく、大物を対象にするのであれば強度も仕掛けも重厚なものにする必要があるでしょう。
ビーズを使ったエダスの出し方は、狙う対象に合わせて使い分ける必要がありますが、ここで紹介したビーズは、いずれも一般的な波止釣りで使用できるものと考えてもらえば結構です。
サルカンビーズを使った胴突き仕掛けの作り方
エダスの出し方だけでは全体像が見えませんので、胴突き仕掛けの作り方の一部として枝針の取り付け方を紹介したいと思います。
波止釣りの胴突き仕掛けは、モトスが2号から4号、ハリスは1号から2号、オモリ負荷も10号程度までと、仕掛けそのものにそれほどの強度は必要としません。
特に五目釣りで十分に底を切って狙うのであれば、モトス3号、ハリスは1.5号、オモリ負荷5号程度の軽い仕掛けで十分でしょう。
この軽い仕掛けに対しては、モトスの張りも考慮すれば、使用するビーズは小さく軽いものであるに越したことはありません。
そういう意味では、上記の3種類の中ではスーパー回転ビーズが価格的にも良く使用されているのかもしれませんが、管理人としては多少コストが上がってもサルカンビーズを使用する方がメリットが多いと感じています。
このメリットについては仕掛けの紹介の中で出てきますし、また、後ほど簡単に纏めようと思いますので、まずは、サルカンビーズを使用した管理人の仕掛けについて紹介します。
サルカンビーズを使った胴突き仕掛け
写真に収めるために、全長50cm程度の短めの胴突き仕掛けを作ってみましたので、仕掛けの仕様を順を追って説明してみます。
まず、モトスには3号のナイロンを使用し、モトスの底には12号のスナップ付スイベルを取り付け、これに3号のナス型オモリを取り付けました。
スナップ付スイベルを使うことで、オモリの重さを変えたい時にワンタッチで交換することが出来ます。
モトスの上側には14号のサルカンを取り付け、道糸とモトスを括りやすいようにしています。
サルカンの結び方についてはコチラをどうぞ
次に、この仕掛けの中心となるエダス部分についてですが、先の写真で紹介したYAMASHITA(ヤマシタ)のサルカンビーズで、蛍光ピンクのSサイズをセットしました。
枝針はチヌ針2号のフロロカーボンハリス1.5号を2本出していますが、上側はエダスの長さが10cm未満と短いので、ビーズに付いたサルカンに括り付けるだけにしています。
下側にはエダスが15cm以上と少し長めのものを取り付けましたが、ハリスが細ければ糸の張りが弱く、モトスに絡みやすくなります。
この点の改善策として、ビーズに付いたサルカンの結びの部分にウキゴムを取り付け、エダスが外側へ少し張り出るようにしてあります。
(注)ここで取り付けたエダスは、一例として2種類の長さにしてみただけですので、下側を長くするといった意図はありません。
そして、サルカンビーズの上下には、いずれもウキ止めの糸を結んであります。
下側はサルカンビーズを止める役割を持ち、負荷も掛かるので、巻き数を多めにしっかりと固定されるように結び、上側はビーズの遊動を止めるための目的で負荷も掛からないことから、軽く結んでおけばOKです。
ウキ止めの結び方はコチラ
少し面倒な作業ですが、実はこの部分が、この仕掛けのキモになる部分であり、幾つかの役割を担っています。
遊動仕掛けは活き餌を使う際によく使われますが、ビーズの遊動範囲を広く取ることで、エサの動きを自然の流れに近い潮乗り効果を演出します。
また、胴突き仕掛けでは底にオモリが付いているため、食い上げ時にも魚に抵抗感を与えますが、遊動仕掛けにする事で抵抗を減らし、魚の食いを良くする役割も担います。
逆に食いが良い時は、ウキ止めの糸を移動させ、遊動範囲を狭めてアタリをよりダイレクトに取れるようにすることもできます。
もちろん、ビーズの上下をエイトノットで固定することで、同じように遊動仕掛けにすることもできますが、ここで紹介するウキ止めの糸を使う方法は、遊動範囲を状況に応じて自在にコントロールできることと、もう一点、エダスの出す位置を上げたり下げたりと自由に変えることができるというメリットがあります。
ただし、ウキ止めの下側には、エイトノットで止めを作っておく必要があります。
大きな魚が掛かったり、根掛かりするといった大きな抵抗が掛かった場合、下側のウキ止め糸がその抵抗に負けてずれ落ちることがあります。
例えずれ落ちても、最終的にビーズとウキ止めが止まる位置が、このエイトノットの位置ということになります。
サルカンビーズを使った胴突き仕掛けのメリットとデメリット
既に仕掛けの紹介の中で出てきた内容もありますが、サルカンビーズを使うことのメリットとデメリットを箇条書きで示しておきます。
【メリット】
- サルカンに括るので、枝針を取り付けやすく、交換も容易
- 回転ビーズと違いハリスの抜けの心配が不要
- サルカン部分が外向きに張り出しているので絡みのリスクが減少
- 波止釣りの小物から船釣りの大物まで幅広く使用可能
- 上記のようにウキゴムを取り付けるなど、工夫の余地がある
- 1個50円以下であり、価格的には許容範囲
【デメリット】
- 仕掛けが少し複雑で重めになる
- チューブタイプよりは絡みによる糸ヨレが出来やすい
- サルカン部分は錆びるので、再利用には塩抜きが必須
- 回転ビーズに比べてコストは割高
- 管理人のウキ止め糸を利用する方法は、負荷が大きいとウキ止め自体の緩みや劣化が生じるため、結び直しが必要となる
あくまで回転ビーズとの比較になってしまいますが、サルカンビーズを使用することで、多少コストが割高になるぶん、幾つかのメリットが得られます。
仕掛けそのものが多少複雑になることもあり、仕掛け作りは少々手間が掛かりますが、そのぶん絡み防止などへの改善工夫を取り入れる余地が出来ます。
枝針仕掛けでは、どうしても細仕掛けになるほどモトスやハリスの張りが弱くなるため、絡みや糸ヨレが生じやすくなります。
ストレスなく釣りを継続するためには、いかにエダスの絡みを少なく出来るかにかかる部分が大きく、自分なりの使い易い仕掛けを考案されている方も多いことかと思います。
本記事が、これから枝針仕掛けでの釣りを始めようと考えておられる方や、枝針仕掛けをいかに改善すれば良いかのか迷われている方への一助となれば幸いです。
なお、本記事で紹介したサルカン付きビーズについては、コチラをご参考にどうぞ
P.S
枝針仕掛けの紹介をしてきてふと思ったのですが、現在、釣りのネタ帳ではサビキ仕掛けを使った釣法を紹介した記事はありますが、胴突き仕掛けを使った釣法を紹介した記事はありませんでした。
近いうちに、胴突き仕掛けを使った釣法についても投稿しようと思いますので、宜しければまた時間のある時にでも覗きに来てもらえれば幸いです。
【以下、2017年3月31日追記】
胴突き仕掛けを使った釣りで、初心者さんにも優しい【際釣り】という釣法について、記事を作成しましたので、宜しければ合わせてご覧下さい。
また記事中では、胴突き仕掛けを作る際に注意すべきこととして、糸ヨレや絡み防止という点を挙げましたが、この仕掛けでは使用するハリスの種類によって、大きな改善効果を得られるものがあります。
本記事の投稿から、随分と日が経過してしまいましたが、改めて以下に紹介しておきます。
エダス仕掛け(枝針)に最強のハリス
エダス仕掛けを作るハリスとして、今も昔も長く愛されている製品があります。
ホンテロンは高硬度、低伸縮、高結束力と3拍子揃ったハリスで、メーカーが販売する胴突き仕掛けの完成品にも、ブランド製品として最も多く使用されているハリスです。
ポリエステル素材の本ハリスは、糸クセがないことから絡みにくく、糸ヨレやねじれが生じても、引っ張ってやるとまっすぐに復元される特性を持っています。
まさにエダス仕掛けにとっては、この上なく使いやすい最強ハリスとも言える製品です。
しかも、ハリス製品としては、かなり安価な部類ですので、普段、ナイロンやフロロカーボンでエダス仕掛けをお使いの方は、一度ホンテロンをお試し頂くことを強くお勧めします。
釣り糸の結び方については、以下の関連記事にもたくさんありますので、結びの方法をお探しの方は、是非ともご覧下さい。
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