釣りで使用する仕掛けは、どのような釣りにおいても釣果に直結しますが、そこで使用するハリスは最も重要な要素です。
当サイトでは【釣りの種類や状況に応じた釣り糸の使い分けを知る】という目的のもと、テーマを決めてシリーズものとして紹介しています。
今回のテーマは『基本的なハリス選択することから始めよう!!』ということで、堤防釣り(波止釣り)で使うハリスについて素材、太さ、強度などの選択基準について簡単に紹介しようと思います。
シリーズへの試みに至った経緯は、宜しければコチラをどうぞ。
本記事の趣旨は、釣りの初心者さん向けに、ハリスについての基本知識と適切なハリスの選び方、そして一般的な堤防釣りで使うおすすめのハリスについて紹介する内容になります。
様々な種類や太さのハリスを使い分ける中級レベル以上の釣り達者な方には、退屈な内容かもしれませんので悪しからずご容赦下さい。
なお、前回記事では【道糸の選び方 素材、太さ、色の基本を押さえよう!】と題して、釣り入門時の道糸の選び方に焦点を当てた内容にしました。
まずは、道糸が先だなという方は、宜しければコチラの記事も合わせてご覧下さい。
ハリスの選び方とおすすめハリス~素材と太さの基本~
先に紹介した道糸に関する前回記事では、『海釣りの入門者がまず始めに、手にする釣り糸ってなんだろう?』
入門者や初心者が購入するリールは糸付きのケースが多いことから、「実はそれがストレートに基本的な道糸だったりします」・・・といったような書き出しでスタートしました。
実はハリスの場合にも同じような事が言えますが、道糸の時と違うのは、海釣りの入門者さんが始めに手にしたハリスがお勧めの素材のハリスとは限らないということです。
どういうことなのか、順を追って説明していきましょう。
基本的なハリス選択することから始めよう!!
釣りの入門者さんの場合は、そもそもハリスと呼ばれる釣り糸の役割そのものをご存じないかもしれません。
まずは、ハリスの働きについて紹介した後、ハリスを選ぶ時に考えなければならない、ハリスの素材と太さについて紹介します。
更に、ハリスがセットされた糸付き針とハリス単体のメリットとデメリット、最後に管理人がお勧めするハリスについて紹介します。
ハリス選びはロッドやリールなどのタックル選びと違って単純です。
基本的なハリスを選択すれば、自ずと十分な性能を発揮してくれるので、それほど難しく考える必要はありません。
ハリスとは ~釣り用語~
ハリスとは、道糸の先に結んでおく釣り糸を指し、一般的な仕掛けでは釣り針に結ぶ釣り糸とも言えます。
写真では堤防釣りで使う一般的なウキ釣り仕掛けを示しましたが、道糸の先にサルカンを通してハリスが結ばれており、その先には釣り針が結んであります。
ハリスには道糸よりも強度の強い糸が使われますが、その代わりに道糸よりも細い糸を使うことになります。
これにはキチンとした理由がありますが、そのアタリのことは後ほど詳しく説明します。
なお、胴突き仕掛けにおいては、幹糸(モトス)に結んで、その先に釣り針を結ぶエダスと呼ばれる部分も、実質的にはハリスと言えます。
ハリスの素材はなんと言ってもフロロカーボン
基本的に海釣りで使用されるハリスの素材は、ナイロンかフロロカーボンです。
ポリエルテルやポリエチレン(PE)といったハリスも存在しますが、これは特殊な使い方になるので、波止釣りではハリスとして使うことはほとんどありません。
そして結論から先に言ってしまうと、ハリスには多くのケースでフロロカーボンがより適切というのが釣り人の共通の認識と言えます。
ある程度釣りを経験した人に、釣りの種類は抜きにして、ナイロンとフロロカーボンのいずれの素材をハリスとして選択するかと聞いたら、十中八九の人がフロロカーボンを選択します。
ナイロンラインと比較した場合、フロロカーボンラインの特長としては、以下のようなものが挙げられます。
- 比重が大きく水に沈みやすい
- 水中での強度がナイロンより強い
- 伸びが少なく張りがあり、感度が高い
- 傷が付きにくく、根ズレに強い
- 魚から見えにくく、警戒心を与えにくい
- 吸水性が低く、劣化しにくい
これらはフロロカーボンという素材の特長にもなりますが、いずれの特徴についてもハリス選びに求められる要件と一致しています。
更に詳しくナイロンとフロロカーボンの特性について確認される方は、コチラの記事内で詳しく紹介しています。
糸付き針や仕掛けを購入する時に認識しておくべきこと
それではテーマの冒頭で述べた、『海釣りの入門者さんが始めに手にしたハリスがお勧めの素材のハリスのとは限らない』という点について、その理由を示しておきましょう。
それは、釣りの入門者さんが始めに購入するであろう、ハリスに関連した商品がどのようなものかという事を考えれば自ずと答えは出てきます。
おそらく手にする商品は、始めから針にハリスが巻かれた【糸付き針】か、あるいは胴付きやサビキ、投げ釣り用仕掛けなどといった、既に【ハリスが仕掛けの一部として製品化された商品】(完成仕掛けと呼びます)になるでしょう。
そしてこれらの商品の特徴として、安い製品ほどフロロカーボンハリスではなく、ナイロンハリスが巻かれている事が多いのです。
完成仕掛けは初心者向けに作られた利便性や汎用性の高さに焦点を当てた製品も多く、価格も安価に設定していることが理由でしょう。
釣りの中級者から上級者になってくると、サビキ仕掛けなどの多針の胴突き仕掛けを除けば、仕掛けは自身で作る(自作する)というのが常識となり、バラ針にハリスを巻くという操作は自分で行うようになります。
釣り針にハリスを自分で結ぶようになる理由は、釣りの種類や様々な条件に応じて、針の種類・色・大きさ、ハリスの種類・号数・長さなど、組み合わせが自由自在に行えるからです。
汎用性の高い初心者向けに売られている商品では、中級者以上の要求を満たすことは難しいと言えます。
以下に、簡単な例をいくつか挙げてみましょう。
- ハリスの長さが2ヒロ(3m)ある糸付きチヌ針は売っていない(昔は種類も豊富にありましたが、最近は随分少なくなりました)
- 2号のチヌ針に4号のハリスが巻かれた商品はない
- 5号のチヌ針に1.5号のハリスが巻かれた商品はない
- 糸付きチヌ針といっても、もはやチヌを釣る為の針とは考えられておらず、汎用性の高い針として売られているだけの商品が多い
このように、自分が思い描いた仕掛けを作る際に、一般的に販売されている製品の中から、自分の考えに合致した製品を探すのは困難になります。
少し話が逸れましたが、フロロカーボンの話に戻します。
糸付き針のハリスの素材にはナイロンハリスのものも多くありますが、フロロカーボンハリスがない訳ではなく、むしろハリスのメイン素材のため普通にたくさん販売されています。
大抵の場合、フロロカーボンハリスが巻かれた商品はそれが売りになるので、きちんとその事がパッケージに謳われています。
写真の製品パッケージにはフロロカーボンラインが使用されていることが記載されていますが、中には『Seagur Ace使用』などと、ハリスの製品名まで記載されている商品もあります。
このような製品は、それなりに価値の高いハリスを巻いてあるという点を、商品の売りにしているということです。
ただし、フロロカーボンハリスを使用した製品は、ナイロンハリスを使用したものより1.5~2倍程度の単価になります。
価格が同じ程度に設定されているものは、入っている本数が少ないので、製品選びの際は注意深く見てください。
もし、製品の良し悪しがよく分かっていない初心者さんが、入り数の多いものと少ないもののいずれかを購入するとすれば、一見していずれの商品を購入するかは明らかでしょう。
テーマの冒頭で述べた、初心者さんが始めに手にするハリスが、一般的にお勧めできるものとは限らないという理由の主要因はここにあります。
ハリスの太さは釣果を左右する重要な要素
ハリスの素材については、フロロカーボンがお勧めであるということは、ここまでの紹介ですでにご認識いただいたかと思います。
ハリスに求められる要件を十分に満たすフロロカーボンが、釣果を良い方に導くのも理解できると思います。
素材以外にもハリスを選ぶ上で幾つかの要素が存在しますが、その中のもう一つ重要な要素がハリスの【太さ】になります。
これはハリスの強度にも関わってきますが、必ずしも太ければ良い、強ければ良いというものではなく、必要以上に太すぎる釣り糸はデメリットを多分に含みます。
最も大きなデメリットは、根掛かりなどで高切れしてしまう(道糸から切れてしまい仕掛けをすべて失う)ことと、魚に余計な警戒心を与えて釣果に悪影響をおよぼすという点です。
他にもデメリットがありますが、このあたりのことも、別途詳しく紹介した記事を用意していますので、興味のある方は後ほどコチラを参考にして頂ければ幸いです。
ここでは結論だけ述べますが、上記記事の表題にもある通り、一般的にハリスの太さは実は可能な限り細い方が好ましいと言えます。
ただし、当然のことですが、細くなればなるほど切れやすくなるので、ハリスには求められる強度に応じた太さを選択する必要があります。
基本的な強度のハリスを選択する
以上を踏まえた上で、『それでは具体的にどういったハリスを選択すれば良いのか?』という単純な疑問について回答するのが、本記事の趣旨です。
ずばり、波止釣りをベースとした場合、1.5号のフロロカーボンハリスが最も汎用性が高い強度を有するハリスと言えます。
もちろん、更に細いものを使えればそれに越したことはありませんが、大物が来た場合にバラしてしまうリスクが大きくなります。
小物ほど警戒心が弱く、ハリスの太さに気を使う必要はありませんので、ある程度の大物にも対応できる太さのハリスを基準に使用しましょう。
フロロカーボンラインの1.5号は、標準直径が0.205mmで、強力が6lb(ポンド)・2.7kgの強度を誇ります。
波止釣りでの大物の対象魚としては、人気の魚である【クロダイ(チヌ)】をベースに考えてみましょう。
ほぼ日本全国に分布し、非常に警戒心の高い魚ですが、初心者でも掛ける可能性の高い魚です。
チヌをベースに考えた場合、初心者さんがタックルについて深く考えずとも、40cmまでならこの1.5号のフロロカーボンハリスで何とか取り込めます。
ベテランさんやタックルの優位性があれば、50cmのチヌでも普通に取り込むことができる強度です。
もちろんハリスのブランド製品次第では同じ1.5号でも強度が変わっくるので、一概に標準とまでは言えませんが、1つの基準として考えることが出来ます。
ただし、いずれにしても、ハリスの長さは1ヒロ(1.5m)程度は欲しいところです。
フロロカーボンハリスは伸びがない分感度は高いのですが、伸びが無いということは衝撃に弱いということで、その点を補うのがハリスの長さになります。
なお、同じ1.5号の太さのナイロンハリスでも40cmのチヌを取り込めなくはないですが、経験値が低いとバラす可能性は高くなるでしょう。
ナイロンハリスは使用時間が長くなると吸水し、強度が格段に落ちてしまうというデメリットもあるので注意が必要です。
先に述べた糸付き針や仕掛けそのものを購入する際も、1.5号のフロロカーボンが巻かれたものを購入することをお勧めします。
そして本格的に釣りに取り組もうと考えているのであれば、早い段階で糸付き針ではなく、ハリスと釣り針を別々に購入し、自身で巻いて使用することを強くお勧めします。
ハリスと針を別々に購入するには、それなりの初期投資も必要になりますが、そうすることにより以下のようなメリットが生まれ、ハリスの無駄が省ける分、結果的にはコスト削減にも繋がるようになってきます。
- 仕掛けに必要な長さのハリスだけを使用でき、不要分をカットして捨てることがない
- ハリスはそのままで、釣り針の種類だけを巻き替えて交換できる
- ハリス切れしても、十分な長さが残れば、針だけ巻きなおせば良い
- 釣りに対する習熟度合が進み、満足感も大きくなる
ハリスは道糸以上に、使い勝手だけではなく、より直接的に釣果を左右する重要な釣り具であると言えます。
早い段階で針の結び方などの基本的な知識を身に付けておけば、自身の釣りの幅を拡げていく際にも有用となるでしょう。
本記事をご覧頂いた事で、その意識が高まってくれれば幸いです。
なお、釣り針の結びは細かい作業になるので、目の悪い方や手先の不器用な方には、以下のような針結び器を使うという方法もあります。
上記は管理人自身も使用している針結び器ですが、一度使い始めると手放せなくなるほど便利です。
家で結ぶのとは違い、釣り場で結ぶ時には、風があったり、冬は手がかじかんだりと大変ですが、針結び器を使えば驚くほど簡単に速く結べます。
釣り針交換も楽チンなので、「替えなきゃダメなのに面倒だな」と、ズボラすることもなくなります。
針結び器についても詳しく紹介した記事を用意していますので、ご興味のある方は是非ともご覧下さい。
おすすめのフロロカーボンハリス(リーダー兼用)
最後に、管理人が波止釣りで最も良く使用しているお勧めのフロロカーボンハリスを紹介しておきます。
ルアーフィッシングをする時には、リーダーとしても愛用している製品です。
あれもこれもはお勧めしません、ズバリ【Seagur Grandmax FX】だけ!!
宣伝文句みたいになってしまいましたが、Grandmax FXはSeagurが誇る最強ハリスの一つで、フロロ特有の張りの強さだけでなく、ハリスに相応しいしなやかさが加えられています。
定価はそれなりに高いですが、実売価格は定価の半額程度ですので、非常にコストパフォーマンスも高く、一度使い始めると手放せなくなる製品です。
ただし、根掛かりするとハリスより太いはずの道糸から切れてしまう程の強度を持ちますので、使用時は道糸の痛みがないことも確認しておく必要があります。
強いハリスをお求めの方は、ぜひ一度使用されてみてはいかがでしょうか。
以上で、堤防釣りで使うハリスについての素材、太さ、強度などの選び方とおすすめのハリスについての紹介を終わります。
釣り糸に関する記事は、以下にもたくさんありますので、宜しければ合わせてご覧下さい。
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