穴釣りを行う上での最大の敵は、誰もが悩まされ続ける仕掛けの【根掛かり】だと言ってもいいでしょう!!
穴釣りにおけるポイントは岩場の隙間であり、そこへ仕掛けを落とし込んでいく訳ですから、岩や石はもちろん、岩に付着する貝類や藻を含めた海藻などに引っ掛かるのは必然です。
穴釣りにおいては、ある程度の仕掛けのロストは避けられません。
『穴釣りとはそういう釣法なのだ』という割り切りが必要であることは、すでに前の記事でもお伝えしました。
穴釣りをする際の心構えについて紹介した記事についてはコチラをどうぞ
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【穴釣りマスター】への道 3箇条の基本的心得とは!?
穴釣りほどシンプルで、確実に釣果を得られる釣法はないでしょう。釣れる魚も人気の高いロックフィッシュ(根魚)で、ボウズ逃れとしても打って付けです。シンプルゆえに地味な印象もありますが、この釣法にも難しさや、釣果を伸ばすための様々なコツがあります。ここでは、穴釣りをマスターするために心得ておくべき基本を3箇条に纏めました。
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穴釣りについてはカサゴを中心とした根魚(ロックフィッシュ)の釣果を上げやすい釣り方として紹介されることが多く、当サイトでもボウズになりにくい釣り方としてお勧めしています。
ただ、何の気なしにオモリに針を付け、仕掛けを穴に落とすだけの釣り方では、釣れる魚の数よりも、失う針の方が多い結果になりかねません。
短時間に3度も4度も仕掛けのロストを繰り返せば、テンションは下がり、仕掛けを作り直す無駄な時間だけが増えるばかりです。
対象がロックフィッシュである以上、仕掛けの損失は覚悟の上で臨まねばなりませんが、無駄な仕掛けの損失を回避できなければコストばかりが増え、穴釣りの楽しみも半減するでしょう。
ここでは、『根掛かりを回避・軽減する方法』の中で、【仕掛けの工夫でそれを実現する方法】に焦点を当てて纏めます。
初心者の方でも、ある程度は根掛かりに抗える方法があることを、ぜひ知っておいて頂きたいと思います。
【穴釣りマスター】仕掛けの工夫で根掛かり対策を!!
根掛かりにはいくつかのパターンがありますが、それぞれのパターンには、それぞれに適した仕掛けの工夫が必要です。
その上で、穴釣りを行うポイントと自分の釣り方にあった仕掛けを作れるようになれば、自然と根掛かりする機会は減ります。
まずは、根掛かりのパターンを知るところから始めましょう。
狙うロックフィッシュ次第で、根掛かりパターンは異なる
穴釣りで主に釣れる魚は何でしょうか。
ターゲットはロックフィッシュの中でも、カサゴ(ガシラ)、メバル、アイナメといった所が大半でしょう。
場所によってはソイが釣れたり、高級魚のアコウが釣れることから、地味な印象がある釣りながら期待感も大きい釣りです。
穴釣りの基本は底狙いですが、メバルやアイナメは中層まで上がっている場合が少なくありません。
もちろん、カサゴ(ガシラ)やアコウも活性の高い時間帯(朝夕のマズメ時は時合)や夜釣りにおいては、積極的に動き回り、上層にまで上がって足元のテトラのすぐ裏に張り付いている場合もあります。
いずれにしても、ターゲットを釣り分けようと思えば、中層から底まである程度棚を探る必要があります。
ここで意識しておきたいことがあります。
仕掛けを底まで落とす場合と、中層を探る場合では、根掛かりするパターンが異なります。
海底まで落とす場合は、底に着いた瞬間が最もリスクが大きく、オモリが岩の隙間に挟まってしまうことが少なくありません。
そして底付近で仕掛けを落ち着ける場合は、ハリスから先を固定とするよりも、中通し仕掛けを使ってフリーにしている方が、釣り針(フック)が根掛かりしやすくなります。
一方、中層を探る場合は、波の影響(水流)で仕掛けが流されて、釣り針や道糸(ライン)が根に掛かるケースが増えます。
狙う穴の形状や、探りを入れる棚に応じた根掛かり対策法を知ることが、根掛かり回避には有効となってきます。
また、いずれの場合も、根に掛けない技術よりも、根に掛かりにくい仕掛けを使うことが、根掛かりの回避・軽減には有効な手段となります。
仕掛けの工夫で根掛かりを軽減できることを知る
最も基本的で論理的な、根掛かり回避・軽減策について纏めます。
それは仕掛けの工夫によるものですが、釣果にも左右するものなので、状況に応じて適切に使い分ける必要があります。
仕掛けは2種類あるが、根掛かり回避なら穴釣り仕掛け一択
穴釣りで使用できる仕掛けは、オモリの下側に針がある一般的に【穴釣り仕掛け】と呼ばれるものと、底にオモリがありエダスで複数の針がセットされている【胴突き仕掛け】と呼ばれるものであります。
穴釣りは探り釣りの一種であり、穴釣り仕掛けも胴突き仕掛け(「胴付き仕掛け」と記載する場合もあります)も探り釣り仕掛けに部類します。

(左)胴突き仕掛け / (右)穴釣り仕掛け
【胴突き仕掛け】は、底よりも少し浮かせて狙う中層の釣りに有利であり、またエサのアピール力も高いことから、メバルを中心としたロックフィッシュを狙うのに非常に有用な仕掛けです。
ただし、テトラポッドや石畳、捨て石での穴釣りで使用するには、一直線に底まで落とせ、かつ穴がかなり大きくないと使えません。
波のあおりを受けやすく、いくらエダスを短くしてもエダスは横に拡がることから、根掛かりが頻発することになります。
波止際とテトラの間に大きなスペースがあるようなポイントで使えるケースもありますが、そのような釣り場は多くありません。
【穴釣り仕掛け】はエサのアピール力は弱いですが、岩場の隙間を掻い潜って仕掛けを落としていくのに適しています。
テトラの穴釣りで根掛かりを軽減する目的であるなら、実質のところ、【穴釣り仕掛け】の仕掛け一択と考えてよいでしょう。
それでは、穴釣り仕掛けの中でも、どのような仕様の仕掛けが、根掛かり軽減に有効なのかを纏めてみましょう。
ポイント① ロッドは先調子、穂先は硬めのものを使用する
穴釣り仕掛けのタックルのうち、ポイントとなる部分について上図に①~④の4点を示しました。
まず、穴釣りで使用するロッドは、取り回しの良い1.5m程度までの短いものを使用するケースがほとんどです。
外穴を攻める場合には1.8m程度の筏用のロッドを使用する場合もありますが、逆に内穴専用であれば1.0m前後しかない短竿も使用します。
共通して言えることは、いずれも先調子のものを使用することで、これはロックフィッシュ相手に繊細なアタリを読み取る必要性は少ないが故です。
穂先は少し硬めのもので、オモリ負荷で言えば5号~15号程度までのロッドを使用するようにしましょう。
主な理由は以下の3点ですが、穴釣りではいずれも重要な要素になります。
ココに注意
- テトラ際は波のうねりが大きく、仕掛けを安定させにくい
- 掛けた魚は根に入ろうとし、穂先が柔らかいと潜られやすい
- 根ずれや根掛かりが多く、穂先が柔らかいと扱いづらい
胴や穂先が柔らかいと根掛かりのリスクが増すだけでなく、根掛かりを外すのにもロッドのしゃくりでは困難になります。
ただ、逆に硬すぎるとアタリの感度が悪く、釣りの面白みが損なわれるというデメリットもあります。
プロマリン(PRO MARINE) PG 極光テトラDX 130H
通常の穴釣りなら、上記のようなロッドがお勧めで、このシリーズの中でもオモリ負荷5-20号のH(ハード)タイプが無難でしょう。
内穴を攻めるだけなら1m程度の穴釣りロッドでも良いのですが、ある程度の外穴を攻める場合や、釣り場のテトラが大型の場合でも無理せずポイントに落とすためには、1.3mという長さは理想的です。
極光テトラDXシリーズは、穴釣りロッドの中で管理人が最もコストパフォーマンスが優れたロッドと評価しており、この製品について詳しく紹介した記事も用意していますので、穴釣りロッドの検討をされている方は、是非ともご覧下さい。
【追記】
上記でお勧めしている極光テトラ130Hは、本記事と関連記事にて紹介した後、多くの方にご購入いただき、シーズン中になると度々在庫切れを起こしてきました。
極光テトラとDXとほぼ同じタイプ、同じ性能のロッドで、OGKのテトラスポットという穴釣りロッドがあり、管理人の使用感では極光テトラとほぼ変わりません。
在庫切れの際に、急ぎ穴釣りロッドをお求めの方は、こちらも合わせてご検討下さい。
テトラスポットは、100、120、140の3種類のラインナップがあります(タイプTSPHGは新製品です)。
穴釣りロッドは安価なものが多く、ロッドの作りは通常ロッドに比べワンランク下がります。
ユーザーの評価は総じて厳しいものになるので、あまり気にしなくて良いかと思います。
また、ロックフィッシュは釣りをする地域でずいぶんと標準サイズが変わるので、20cm以上のクラスが普通に釣れてくるポイントで穴釣りをするなら、大物用を使う方が引き抜きやすくなります。
上記は1.2mで穴釣りでは標準的な長さですが、ロッドの強度が大きいぶん、極光テトラやテトラスポットに比べると50g以上重くなります。
また、このクラスのロッドを選ぶ場合は、M(ミディアム)タイプでないと竿が硬すぎて、魚の食いが悪くなるだけでなく、面白みに欠けてしまうかもしれません。
ポイント② オモリの種類で、根掛かりを軽減する
穴釣りで根掛かりするのは、針だけではありません。
オモリが岩の間に挟まって抜けなくなり、オモリと針を含めてロストするケースも多くあります。
オモリは重くなるほど大きくなり、大きなオモリを使うほど、岩の隙間に入った際に挟まるリスクが大きくなります。
タングステンシンカーのように比重が高く、小さくても重さの確保できるオモリもありますが、高価なので根掛かりの多い穴釣りで使うには不向きです。
波のうねり(水流)の影響を考慮して、仕掛けを安定させられる重さの鉛製のオモリがあれば、それで十分でしょう。
水深2m~3m程度のポイントで穴釣りを行う場合は、3号~5号のオモリが適当な重さとなります。
また、同じ体積でも幅の広いオモリほど、岩場の隙間に挟まり易くなります。
ナス型や天秤が付いたもの、底に固定するための歪な形をしたオモリなどは使用しないようにしましょう。
根掛かりを軽減させるには、以下のようなシンプルなオモリを使うことをお薦めします。
オモリの上下に付いたゴムが岩を弾くので、根に掛かり難い特徴があります。
長型と丸型がありますが、一般的には長型を使用しますが、テトラ上を転がしながら穴へ入れる場合には、丸型を選びましょう。
ゴム管オモリの良いところは、中通し仕掛けとして使えるだけでなく、ピン止めや極小サルカンを使えば固定仕掛けとしても使えます。
穴釣りでは非常にメリットの大きなオモリなので、是非とも使ってみて下さい。
ゴム管オモリにも、いくつかのタイプがありますので、重さの違いも含めて複数種類を用意しておきたいところです。
もう一点、穴釣りで良く使われるもオモリに、サルカンと一体になった長型オモリでがあり、こちらも一直線に穴へ入れやすいです。
糸よれを防ぐのと、仕掛けを作り直しやすいというメリットもありますが、根掛かり防止とコスト面では、ゴム管オモリには及ばないでしょう。
更に、こちらは穴釣りで定番のブラクリ仕掛けと言って、根魚をターゲットにしたオモリと針が一体化された仕掛けです。
根掛かりしにくい構造になっており、集魚も兼ねたオモリになっていますが、根掛かりでロストする場合は道糸から切れますので、針先が傷んでも針だけの交換は出来ません。
ブラクリに関しては、根掛かり防止以外にも、穴釣りで使用する上でいくつもの優れたメリットが存在します。
詳しくはコチラの記事を是非ともご覧下さい。
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根魚(ロックフィッシュ)の穴釣りで有用なブラクリ仕掛けの種類
波止釣り(特にテトラ)でロックフィッシュ(根魚)の専用釣り具といえば、まずブラクリ仕掛けが浮かびます。ここでは穴釣りで使用する様々な種類のブラクリの使い方や、ブラクリ仕掛けのメリットやデメリット、おすすめのブラクリなどについて紹介します。
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ポイント③ ハリスの長さは短い方が根掛かりしにくい
ハリスの長さは短かければ短いほど、オモリのポジションから離れない為に、根掛かりしにくくなります。
ただし、エサの動きが潮の動きに合わない事、エサの動きも悪くなることから、魚へのアピール力は弱くなります。
例えば、ハリス部分が極端に短いのは、ブラクリ仕掛けの特徴の一つにもなっています。
ただし、ブラクリでは仕掛けの色や蛍光ビーズの使用などにより、魚へのアピール力を上げる効果が付加されています。
なお、ライン直結の中通しオモリを使ってフックを結び、仕掛けを作る方もいますが、ラインがナイロンである場合は不適切です。
道糸にフロロカーボンを使っている場合は一応可ですが、根ズレの多い穴釣りではハリスはフロロを使うことを前提とし、道糸とハリスも別の太さ設定(例えば道糸3号、ハリス1.5号など)で使用しましょう。
ポイント④ 針の種類で、根掛かりを軽減する
釣り針の形状は根掛かりの要因の中でも大きなウェイトを占めます。
狙うロックフィッシュの種類が決まっているなら、カサゴ針やメバル針など、魚の特性に合わせたものを使用すれば良いでしょう。
汎用性で選ぶなら、岩場での使用なので、ある程度太めの針が良く、チヌ針や丸セイゴが使われる場合が多いです。
ただし、いずれも『根掛かりを軽減させる』という目的で使用する場合に、その優劣を判断することは難しいでしょう。
それよりも、『根掛かり軽減』だけを考えた場合には、圧倒的なパフォーマンスを発揮する釣り針があります。
それは【ネムリ針】という、他に類をみない特徴的な形状をした針です。
この【ネムリ針】については、管理人が過去に記事にしたものがあり、これを知らなかったアングラーから好評な記事があります。
この釣り針の特性をご存じない方は、ぜひご一読下さい
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ロックフィッシュ(根魚)には【ネムリ針】を使おう!!
ネムリ針はもともとはムツなどの深海魚を釣る釣り針で、その形状と特徴からメリットとデメリットがはっきりしています。最近では胴付仕掛けや投げ釣り仕掛けなどにも使用されていますが、おすすめとしてロックフィッシュ(根魚)に対する有用性を紹介します。
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一度手に取ってみれば分かりますが、恐ろしいほど針先が歪に曲がっているのが確認できます。
根掛かりしにくい代わりに、魚にも掛けにくくなる・・・諸刃の剣ですが、エサを丸ごと飲み込むようなロックフィッシュに対して、穴釣りで使用する場合には非常に有用な釣り針となります。
がまかつ(Gamakatsu) カサゴ鈎(ガシラ) 金 11号
多くの釣り人にとってネムリ針と言うのはあまり聞き慣れない釣り針かも知れませんが、実はカサゴ針以外にも、セイゴ針やグレ針などにも、ネムリや半ネムリになっているものが数多く販売されています。
ぜひ覚えておいて、釣り具店へ出掛けた際に、手に取って確認してみてはいかがでしょう。
ポイント⑤ 仕掛けをコントロールしやすい小型の両軸リールを使う
上図にはポイントとして記載していませんでしたが、追加でもう1点、穴釣りで使用するリールについても紹介しておきます。
いくら根掛かりしにくい仕掛けを使用しても、仕掛けのコントロールが大雑把では、根掛かりを大幅に減らすことは難しいでしょう。
仕掛けのコントロールはロッドとリールで行いますが、穴釣りではキャスティングを必要とせず、仕掛けの上げ下げ、ラインの出し入れが仕掛けをコントロールする操作の中心です。
この操作を継続的に安定して行うには、以下のような小型の両軸リールを使うのが最適です。
サミングを使った底のとりやすさや微妙な誘いの入れやすさ、ドラグを利用した置き竿の利便性、穴釣り用の短竿とのバランス、腕に掛かる負担など、スピニングリールや通常のベイトリールに比べると、圧倒的に大きなメリットを有します。
本格的に穴釣りに取り組むつもりであれば、小型の両軸リールを是非とも検討対象にいれることをお勧めします。
シマノではなくダイワ贔屓の方には、以下のコロネットが同じスペック製品になります。
穴釣りで使用するリールに対して、求められる要件について詳しく纏めた記事も用意しています。
穴釣りで使用するリールをお探しの方は、是非ともご覧頂ければ幸いです。
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【極めリール】穴釣りには小型の両軸リールがおすすめ
当サイトでは、魅力あるロックフィッシュ(根魚)の穴釣りの釣り方をはじめ、ロッドやリール、仕掛けなどのタックル、テクニックについて紹介してきました。ここでは穴釣りに最適なリールに求められる要件と、お勧めの小型両軸リールについて紹介します。
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タックルや仕掛けの工夫によって、根掛かりを回避・軽減する方法は、ターゲットをヒットさせにくくする要素が多分に含まれています。
ある意味、根掛かりのリスク軽減効果と、獲物をヒットさせる効果は、反比例の関係にあるのかもしれません。
それでも『仕掛けを作り直す度に、根掛かりでロストする』という不毛な作業を幾度も繰り返すことにより、釣果を得る前に心が折れてしまうといったようなことはなくなります。
むしろ、様々な仕掛けの工夫を重ねて根掛かりを減らし、なおかつ対象魚を十分にゲットできるような方法を模索することにより、より深く穴釣りの楽しさに触れることができるのではないでしょうか。
仕掛けの工夫以外にも、穴釣りを行う場合の根掛かり対策はありますので、また別の機会に紹介させてもらおうと思います。
【関連記事】
根魚(ロックフィッシュ)の穴釣りで有用なブラクリ仕掛けの種類
当サイトでは、釣行記録を含めて、たくさんの穴釣りに関する情報を紹介していますので、是非とも合わせてご覧下さい。